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マーケティングリサーチャーとは?仕事内容・年収・なり方・向いている人

執筆・編集:トウカイインターン編集部

飲料の感想を聞くマーケティングリサーチャーのイメージ

マーケティングリサーチャーは、市場や消費者を調べ、商品開発や販売戦略に必要な情報を企業へ届ける仕事です。調査の目的を決め、アンケートやインタビューを設計し、集めたデータを分析して、報告や提案まで行います。

入職に必須の資格はありません。厚生労働省のjob
tagでは、大卒者が多く、統計、社会調査、経済、流通などの知識が役立つと説明されています。調査会社、メーカーなどの事業会社、コンサルティング会社で働く道があり、会社によって担当範囲が異なります。

この記事では、仕事内容、なり方、年収の見方、向いている人を先に説明します。後半では架空の飲料調査を使い、実際の仕事を5段階で紹介します。

知りたいこと 先に確認したい答え
仕事内容 調査の企画・設計、実施、集計・分析、報告・提案
働く場所 調査会社、事業会社、コンサルティング会社など
必要な資格 一律の必須資格はない。社会調査士などは学習の選択肢
役立つ学び 統計、社会調査、マーケティング、表計算、文章・発表
向いている人 数字と人の話の両方を確かめ、地道な確認を続けられる人

目次

マーケティングリサーチャーの仕事内容

市場調査とマーケティングリサーチの違い

マーケティングリサーチは、商品やサービスを届けるために必要な情報を調べる活動です。市場の規模や競合を調べるほか、商品の使われ方、価格への反応、広告がどう伝わったかなども扱います。市場調査は市場の状況を把握する意味で使われることが多いものの、両者を厳密に区別しない職場もあります。

リサーチャーは、その調査を進める専門職です。マーケティング担当者が商品企画や販売施策を広く担当するのに対し、調査の問い、方法、分析、報告を中心に受け持ちます。仕事の分担は会社によって異なり、調査後の企画会議まで参加する場合もあります。

数で傾向を見る調査と、言葉で理由を探る調査

アンケートなどで回答を数値として集める「定量調査」は、「何人が使っているか」「どの層で利用が多いか」を捉える方法です。一方、インタビューなどの「定性調査」は、使った場面や選んだ理由を具体的に聞き取る方法です。

例えば、アンケートで「購入しなかった学生が多い」と分かっても、その理由が価格なのか、売り場に気づかなかったのかは別に確かめる必要があります。インタビューで理由の候補を探り、追加のアンケートで広がりを確認するなど、目的に応じて組み合わせます。どちらか一方が常に優れているわけではありません。

マーケティングリサーチャーになるには

マーケティングリサーチャーになる道は一つではありません。新卒では調査会社やメーカーなどへ入り、実務を通して調査の進め方を覚えるケースがあります。中途採用では、調査、データ分析、商品企画、営業企画などの経験を生かす道があります。職種名だけで探さず、調査設計、アンケート、インタビュー、データ分析、消費者インサイトなどの業務内容も確認しましょう。

学歴や専攻は決まっている?

厚生労働省のjob
tag「マーケティング・リサーチャー」
では、入職に特定の資格は必要ないものの、大卒者が多いと説明されています。特に有利な専攻はないとされ、統計、社会調査、経済、流通などの学習が仕事に役立ちます。

文系・理系だけで向き不向きは決まりません。社会学や心理学で調査方法を学んだ人、経済・経営を学んだ人、理工系でデータを扱った人など、異なる背景を生かせます。専攻名より、どのような問いを立て、どのデータを使い、何を説明したかを話せることが大切です。

新卒で目指す場合

調査会社のリサーチャー職に加え、メーカーやサービス企業のマーケティング部門、消費者調査、顧客理解、データ分析などの募集を探します。会社説明や求人票では、企画から報告までを担当するのか、実査や集計を分担するのかを確認してください。

応募前に、授業や自主学習で作った質問票、集計表、短い調査レポートを振り返っておくと、興味だけでなく実際に試した内容を説明できます。架空データや公開データを使った場合は、そのことを明記します。

未経験から転職する場合

中途採用では、調査の実務経験を求める求人もあります。一方で、商品企画、営業企画、データ分析、顧客対応などの経験が調査業務につながる場合もあります。求人ごとに必須条件が異なるため、「未経験可」という一般論だけで判断せず、担当業務と必要な経験を確認しましょう。

資格は必須ではない

リサーチャーになるための一律の必須資格はありません。関連する学習の選択肢として「社会調査士」があります。社会調査協会の案内では、大学卒業と、認定された標準カリキュラムA〜GのうちE・Fを選択とする6科目の単位取得が基本条件です。履修条件を満たした在学生向けの候補者認定もあります。

科目名が似ていても認定対象とは限りません。所属大学の案内と社会調査協会の取得案内を確認し、何年次に開講されるか、調査実習に先修条件があるかを早めに調べましょう。

「専門社会調査士」は、より専門的な調査能力に関する資格です。通常の取得経路には社会調査士資格、大学院での所定科目、研究論文などの条件があり、調査経験などによる別の申請経路も設けられています。詳細は社会調査協会の資格説明で確認できます。

マーケティングリサーチャーが働く場所

調査会社:複数の企業の調査を受け持つ

調査会社では、依頼企業の担当者と目的を確認し、社内の集計担当や調査実施の担当者と協力します。さまざまな業界に触れられる一方、案件ごとの用語や商品の背景を学ぶ必要があります。質問票の修正、日程の調整、集計表の確認など、細かな作業もあります。

事業会社:自社の商品やサービスを継続して調べる

メーカーやサービス企業などでは、商品企画、広告、販売などの担当者に調査結果を届けます。調査した後に商品がどう変わったか、利用が増えたかを継続して追える仕事もあります。募集名が「リサーチャー」ではなく、「マーケティング」「消費者インサイト」などになっている場合もあるため、職種名に加えて業務内容を読みましょう。

コンサルティング会社など:提案を支える情報を集める

事業戦略や新規事業などの提案に必要な情報を調べる仕事もあります。消費者への調査に限らず、公表資料を読む、企業や専門家に話を聞くといった方法も使います。調査だけを専門に担当するのか、提案書の作成まで含むのかは求人によって異なります。

いずれの職場も、一人で数字だけを見て完結するとは限りません。誰から依頼を受け、誰に結果を伝えるのかを想像すると、自分が働く姿を考えやすくなります。

マーケティングリサーチャーの年収・働き方・将来性

年収は、統計の対象と求人の条件を分けて確認する

厚生労働省のjob
tag「マーケティング・リサーチャー」
には、令和7年賃金構造基本統計調査をもとに年収736.8万円、平均年齢43歳と掲載されています。ただし、数値は「企画・調査事務員」等の職業分類に対応し、マーケティングリサーチャーだけの平均や新卒の年収ではありません。2026年9月10日時点の確認値です。

自分の応募条件を知るには、求人の月給、基本給、固定残業代の有無と対象時間、賞与、勤務地を確認します。経験者を含む統計と初任給を、そのまま比べないようにしましょう。

働き方も職場や案件で異なります。質問票の締切前、調査実施日、報告前に作業が集中することがあります。面談では「忙しい時期はいつか」「調査相手の都合で夕方以降の業務があるか」「複数案件をどの程度担当するか」と、具体的に聞くと実際の予定を想像できます。

将来性は、道具の変化と任される仕事を見る

集計や文章の下書きに使える道具が増えても、「何を確かめるべきか」「そのデータで答えられるか」「結果をどう伝えるか」は、調査の質に関わります。AIが生成した文章も、元データと一致しているか、根拠のない説明が加わっていないかの確認が必要です。

ただし、こうした仕事があることだけで、将来の採用人数や収入が増えるとは断言できません。業界全体の話に加え、応募先が扱う調査、顧客、使う道具、若手が受ける指導を確認しましょう。学習では、道具の操作と、数字や質問を確かめる習慣を一緒に身につけると、仕事の変化にも備えやすくなります。

マーケティングリサーチャーに向いている人

マーケティングリサーチャーには、数字を正確に読む力だけでなく、相手の話を聞く力、質問を何度も見直す粘り強さ、結果を言い切れる範囲で伝える慎重さが必要です。新しい商品や人の行動に関心を持ち、「なぜそうなったのか」を確かめたい人は仕事に取り組みやすいでしょう。

次の4問は、仕事の一部を試すための練習です。採用試験や科学的に検証された適性診断ではなく、正解数で向き不向きを決めるものでもありません。各問に答えてから「考え方を開く」を押し、解説を読んでください。回答を入力・送信する必要はありません。

課題1:答えを誘導しない質問を選ぶ

飲料の感想を聞く質問として、どちらから始めますか。

  • A:「手頃でおいしいこの飲料を、また買いたいですか?」
  • B:「この飲料の味について、どのように感じましたか?」

選んだ理由と、もう一つ聞きたい質問をメモしてください。

課題1の考え方を開く

Bから始めると、質問者の「手頃でおいしい」という評価を先に伝えずに済みます。Aは価格、味、再購入意向が一つに混ざっており、何への回答かも分かりにくい質問です。価格の感じ方や購入意向は別に聞きます。Bも自由回答だけでは集計しにくいため、目的によっては味の評価を選択式で聞く方法を考えます。

言葉を少し変えると回答が変わりそうだ、と気になった人は質問づくりを試してみましょう。学習テーマは社会調査法と質問票の作成です。

課題2:割合と人数を一緒に読む

別の架空調査で、1年生は10人中6人、2年生は50人中20人が商品を購入していました。「1年生のほうが購入者が多い」という報告をどう直しますか。

課題2の考え方を開く

購入した人数は2年生が多く、購入した割合は1年生60%、2年生40%です。「この回答者では1年生の購入割合が高いが、購入者数は2年生のほうが多い」と分けて書けます。回答人数が違い、集め方も不明なので、学年全体の傾向や差の確かさまでは断定できません。

分母や集め方を確かめたくなった人は、集計・分析に関心があるかもしれません。割合、標本、表計算を学ぶところから始められます。

課題3:相手の言葉から具体的な場面を聞く

インタビューで「この商品、なんとなく買いにくいです」と言われました。「高いからですか?」と聞く前に、どんな質問をしますか。

課題3の考え方を開く

例えば「買いにくいと感じたときのことを、もう少し教えてください」と聞き、どこで、何を見て、どうしたかを確認します。相手は値段ではなく、棚の位置や量の多さを気にしているかもしれません。最初から理由を決めつけず、相手が話した事実と自分の解釈をメモで分けます。

具体的な場面を知りたいと感じた人は、インタビューの練習が合いそうです。話を遮らずに聞くことと、必要な点を確かめることを両方試してみましょう。

課題4:言い切れない結果を報告する

記事前半の表を見た担当者から、「認知を広げれば必ず売上が増える、と報告してよい?」と聞かれました。事実、まだ分からないこと、次に試す案を、それぞれ1文で答えてください。

課題4の考え方を開く

例:「今回の回答者では、商品を知っていた層の購入割合が高くなっています。ただし、認知が購入を増やしたかは確認できていません。売り場の表示を小さく変更し、来店者数なども記録して変化を確かめましょう。」依頼者の希望に合わせて結果を強く言い換えず、行動につながる提案を添えます。

根拠を保ちながら短く伝える作業に興味があれば、報告書やプレゼンテーションの練習につなげられます。

結果の見方:得意な作業と、もう一度試したい作業を分ける

4問を終えたら、各課題に「楽しかった」「もう一度試したい」「今は負担が大きい」のどれかをメモしましょう。正しく答えられても退屈な作業と、難しくても続けたい作業は違います。

さらに、表の間違いを地道に確認できそうか、質問を何度か直すことに耐えられそうか、相手の要望を聞きながら根拠のない断言を断れるかも振り返ってください。数字への関心に加え、粘り強さや人とのやり取りも使う仕事です。一度の練習で決めず、別のテーマでも試すと自分の傾向を確かめやすくなります。

仕事内容を具体例で理解する:飲料調査の5段階

ある店から「学内で販売する新しい飲料が思ったほど売れない」と相談されたとします。以下の商品、人数、回答はすべて仕事を理解するための架空の練習例です。実際の学生や商品の調査結果ではありません。

マーケティングリサーチの5工程:企画、調査設計、実施、集計・分析、報告・提案
企画から報告まで。詳しい作業は各工程で紹介します。

1.企画:何を決めるための調査かを確認する

最初に「調査の結果を使って、店は何を決めたいのか」を聞きます。商品の味を変えたいのか、価格を見直したいのか、売り場の表示を変えたいのかで、必要な情報が変わるからです。

今回は「学生が商品を知っているかを調べ、まず売り場の表示を試す必要があるか考える」とします。売上目標、予算、報告期限、すでに分かっている販売数も確認します。「学生の好みを何でも聞く」と広げると、回答が集まっても次の行動につながりません。

この段階の成果物は、調査目的、対象者、確かめたいこと、期限を1枚にしたメモです。依頼者と認識がずれていれば、質問をつくる前に修正します。

2.調査設計:誰に、何を、どう聞くかを決める

対象を「その学内の売店を利用する学生」とし、商品を知っていたか、買ったことがあるかを聞く案をつくります。商品の写真を見せてから「以前から知っていましたか」と聞くと、その場で見た記憶と混ざるおそれがあります。質問の順番や見せる情報も仕事の一部です。

質問例は「今日より前に、この商品を見たり聞いたりしたことがありましたか」「過去7日間に、この商品を購入しましたか」。購入経験と購入意向は分けます。「買ってみたい」という回答だけで、実際に売れるとは言えないためです。

また、店頭だけで集めると店に来ない学生の声は入りません。昼休みだけなら、その時間に利用する人に偏ります。調査にかけられる費用や時間を踏まえて集め方を決め、届かなかった層は報告時に説明します。

3.実施:回答しやすさと回収状況を確かめる

本番前に数人に答えてもらい、「過去7日間」が伝わるか、選択肢に答えがない人がいないかを確認します。回答にかかる時間も測り、分かりにくい箇所を直します。

実施中は回答数だけを見ず、特定の学年や時間帯に偏っていないか、同じ回答が重複していないかなどを確認します。回答がない欄を、勝手に「いいえ」として扱ってはいけません。未回答と否定の回答は意味が違います。

学生が自分で試すなら、まず架空データや公開データを使えます。人に聞く場合は、練習の目的、任意であること、記録や共有の範囲を伝えましょう。録音や個人が分かる情報を扱う際は、大学や活動先のルールも確認します。

4.集計・分析:人数と割合を並べて読む

練習用に100人分の回答が集まったとします。商品を知っていたかと、過去7日間に購入したかを掛け合わせた表が次のとおりです。こうした集計を「クロス集計」と呼びます。

調査前の商品認知 購入した 購入していない 合計 各行の購入割合
知っていた 18人 42人 60人 30%
知らなかった 4人 36人 40人 10%
全体 22人 78人 100人 22%

「知っていた人では30%、知らなかった人では10%が購入した」が、この表から読み取れる内容です。差は20ポイントあります。ただし、これだけで「認知を増やせば購入率が20ポイント上がる」とは言えません。売店をよく利用する人ほど商品を知り、購入もしている可能性などが残ります。

数字の違いを見つけた後に、別の説明はないかを考えるところが分析の難しさです。全学生から無作為に集めた回答でもないため、この100人の割合をそのまま大学全体の割合として示すのも避けます。

5.報告・提案:事実、解釈、次に試すことを分ける

報告書ではグラフを並べるだけでなく、依頼者が何を決められるかを伝えます。今回なら、短い報告の例は次のようになります。

  • 事実:練習データ100人では、商品を知っていた層の購入割合は30%、知らなかった層は10%だった。
  • 解釈:認知と購入に関連は見られるが、認知が購入を増やしたかは、この調査では分からない。
  • 次の案:表示変更を小さく試し、販売数と来店者数を記録する。天候や授業日程など、比較期間の違いにも注意する。

依頼者から「結局、表示を変えれば売れるの?」と聞かれたとき、分からない範囲を残したまま、試す方法を示せることが大切です。断言を避けるだけで終わらず、次に何を確かめればよいかまで説明します。

仕事に役立つ6つの勉強

統計の基礎:割合、平均、ばらつき、標本

まず、割合の分母、平均値と中央値の違い、値のばらつきを説明できるようにしましょう。例えば支出額が100円、100円、100円、100円、1,100円の5人なら、平均は300円、中央値は100円です。「平均300円」だけでは、多くの人の支出感覚を伝えきれません。

その後、回答者をどう選ぶかという標本の考え方や、関連があっても原因とは限らないことを学びます。大学では「統計学入門」「データ分析」「社会統計学」などの授業名を探せます。無料の入口には総務省統計局の「なるほど統計学園」があります。

表計算:集計を再現できる形で残す

ExcelやGoogleスプレッドシートで、並べ替え、フィルタ、COUNTIF、ピボットテーブルを試します。関数をたくさん覚えるより、元データを残したまま集計し、誰かが数字を確認できることを目標にしましょう。

練習では架空の20人分のデータをつくり、学年別の購入人数と割合を出します。空欄、表記の違い、重複を入れてみて、どう扱ったかもメモしてください。合計人数が元のデータと一致するかを確かめれば、見栄えのよいグラフを作る前に必要な確認を体験できます。

社会調査法:質問と対象者の選び方

「分かりやすい質問」と「目的に合った質問」は必ずしも同じではありません。何を知るための項目か、答えられない人はいないか、期間が曖昧でないかを確認します。

大学の「社会調査法」「調査実習」「心理学研究法」などで、質問票、調査対象、記録の扱いを学べます。自習なら、一つの質問に二つの内容を入れない、回答を誘導しない、選択肢に漏れや重複がないかを見るところから始めましょう。

インタビュー:発言と解釈を分けて記録する

聞き役の練習では「なぜ?」を繰り返すだけでなく、直近の行動を順番に聞いてみます。「最後にその商品を選んだのはいつですか」「ほかに何と迷いましたか」なら、実際の場面に近づけます。

メモは「相手が言ったこと」と「自分が考えた理由」を別の欄にします。相手の発言を自分の予想に合わせて要約していないか、読み直してください。人の話を聞く仕事を広く比べたい場合は、聞き上手な人に向いている仕事も参考になります。

マーケティング:調べた情報を商品の文脈で読む

顧客、自社、競合から状況を確認する3Cや、政治・経済・社会・技術の変化を見るPESTといった枠組みを知ると、調査前に読む情報を探しやすくなります。ただし、枠に情報を埋めただけで売れない原因が分かるわけではありません。

身近な売店を題材に、「誰が使うか」「店の特徴は何か」「ほかにどこで買えるか」を分けてメモしてみましょう。授業では「マーケティング論」「消費者行動論」「経営学入門」などが入口になります。

文章と発表:結論の根拠と限界を短く伝える

結論、理由、具体例、結論の順に伝えるPREPは、説明を短くまとめる練習に使えます。ただし、根拠が弱いのに結論を強くするための型ではありません。調査では「この回答者の範囲では」といった条件も必要です。

集計結果を1枚にまとめ、友人に3分で説明してみましょう。「この数字は何人から取ったの?」「それで何をするの?」に答えられるかが確認点です。Python、R、SQLは大量のデータを扱う際の学習候補ですが、最初の練習は表計算でもできます。応募先が求める技能は求人票で確認してください。

未経験から4週間で仕事を試す方法

前半2週間:問いとデータを用意する

1週目は、学内の店やサービスを題材に「誰が何を決めるために調べるか」を1文にし、質問を5問つくります。各問の横に、その答えを何に使うかを書いてください。使い道が説明できない質問を削れたら、最初の成果物ができます。

2週目は、架空の回答データを20件つくり、人数、割合、平均を集計します。元データ、集計表、欠損や重複の扱いを残し、手計算した一部の数字と一致するか確認します。架空の回答から実際の消費者の傾向を結論づけないことも、練習の条件です。

後半2週間:理由を聞き、1枚で報告する

3週目は、協力してくれる人がいれば10分ほど話を聞き、行動の具体例をメモします。協力者がいない場合は、公開されているインタビューを出典つきで読み、発言と自分の解釈を分ける練習に置き換えられます。少人数の発言を「学生はみんな」と一般化しないようにします。

4週目は、問い、方法、分かったこと、分からないこと、次の案を1枚にまとめます。読む人が数字の出どころをたどれ、提案と根拠の関係を説明できれば一区切りです。応募時に見せるなら、架空データや公開資料を使った自主練習だと明記し、他人の個人情報や非公開の内容は載せません。

仕事を深く知る人物と本

リサーチャーの仕事をもっと知りたい人に向けて、日本と海外の3人を紹介します。データを読む、店内の行動を観察する、言葉にしにくい気持ちを聞き取る。それぞれの著書から、消費者を調べる方法の違いが分かります。

萩原雅之:デジタルデータから消費者を理解する

萩原雅之さんは、マーケティングリサーチの実務や著作に取り組んできた日本のリサーチャーです。日本マーケティング学会の紹介でも、インターネットを使った調査や、新しいリサーチのあり方について議論を重ねてきた人物として紹介されています。

著書は『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ、2011年)。アンケートへの回答に加え、検索や行動の記録などから消費者を理解する方法に関心がある人の読書候補です。刊行から時間が経っているため、登場するサービスや当時の状況は現在と区別して読みましょう。「人に聞いて分かること」と「行動の記録から分かること」の違いを考えながら読むと、この記事の調査方法の説明ともつながります。

人物の経歴と活動は、日本マーケティング学会の紹介で確認できます。

パコ・アンダーヒル:買い物中の行動を観察する

パコ・アンダーヒルは、調査会社Envirosellを創業し、店舗で顧客がどう行動するかを観察してきた米国の人物です。商品を選ぶ場面を実際に見る調査で知られています。

おすすめは『なぜこの店で買ってしまうのか
―ショッピングの科学―』(早川書房、ハヤカワ文庫NF版は2014年)。店内での人の動きや売り場の環境と、買い物との関係を扱う本です。身近な買い物を題材に調査の面白さを知りたい人は、この本から始めるとイメージを持ちやすいでしょう。

読むときは、観察された行動と、その理由についての説明を分けてみてください。「何が起きたか」と「なぜ起きたか」は、調査でも別々に確かめる必要があります。書誌情報と内容は早川書房の書籍紹介に掲載されています。

ジェラルド・ザルトマン:言葉にしにくい気持ちを探る

ジェラルド・ザルトマンは、消費者心理と調査方法に取り組んだ米国の研究者です。写真などのイメージや比喩を手がかりに、消費者の考えや気持ちを聞き取る「ZMET」というインタビュー手法を開発しました。この取り組みはハーバード大学の記事でも紹介されています。

著書『心脳マーケティング』(ダイヤモンド社、藤川佳則・阿久津聡訳)は、消費者の思考、記憶、比喩などを扱います。「本人がうまく説明できない商品選びの理由を、どう聞けばよいのか」に関心がある人向けです。調査票の作成手順を覚える本としてよりも、質問への答えをどう受け取るか考えるための読書に向いています。

ダイヤモンド社の書籍紹介から内容を確認できます。心理や認知に踏み込むテーマなので、まず目次を見て、興味のある章から読む方法もあります。

どの本から読むか迷ったら

身近な店や買い物に興味があればアンダーヒル、ネット上のデータに興味があれば萩原さん、インタビューや消費者心理に興味があればザルトマンの本が候補になります。3冊を全部読む必要はありません。

いずれも最新のツール操作を学ぶための新刊として挙げている本ではありません。出版社の紹介や目次で内容を確かめ、大学や地域の図書館で探すこともできます。1冊から「面白かった調査方法」と「その方法では分からないこと」を一つずつメモすると、授業や実習で確かめたいことが見つかります。

インターンで確かめたい業務と教わり方

職種名より、調査のどこを担当するかを読む

「マーケティング」のインターンでも、SNS投稿や営業が中心の募集があります。調査に関心があるなら、質問票の作成、インタビューの補助、データ集計、報告資料の作成が業務に含まれるかを確認しましょう。調べたことを提案に使う仕事に興味があれば、マーケティングインターンの仕事内容も併せて読めます。

応募前には「学生が担当する作業の例」「使うソフト」「最初の1か月に作るもの」を聞くと、授業や自主学習とのつながりが分かります。募集文だけで分からない部分を、面談で確認するための質問に変えておきましょう。

作業後に、誰から何を教わるかを確認する

データ入力や資料集めから始まることもあります。その後、質問の意図や集計結果の読み方について説明を受けられるかが、学ぶ内容に関わります。「作った表は誰が確認しますか」「報告の場に参加できますか」と聞いてみてください。

勤務時間、試験期間中の調整、交通費などの条件も確認します。東海エリアで現在リサーチャーの募集があるとは限らないため、インターンの職種一覧で近い仕事を比較し、実際の求人内容を読みましょう。

まとめ

マーケティングリサーチャーは、調査の目的を決め、対象者と方法を選び、データを集めて分析し、企業の判断につながる報告や提案を行う仕事です。調査会社、事業会社、コンサルティング会社などで働き、担当範囲は会社によって異なります。

入職に一律の必須資格はありません。求人票では職種名だけを見るのではなく、調査設計、実査、集計・分析、報告のどこを担当するかを確認しましょう。年収は職種全体の統計と応募先の条件を分けて読みます。

仕事に興味を持ったら、公開データや架空データを使って、質問票、集計表、1枚の報告書を作ると仕事内容を試せます。学生がインターンを探す際は、担当業務と教わり方を東海エリアのインターン一覧で確認してください。

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